調査票とは

「調査票」とは何か、なぜ必要なのか、どのように作るのかを、リサーチのプロではない方向けに解説します。生成AIを使った調査票作成のプロンプトサンプルも掲載しています。

「調査票」という言葉は、リサーチ業界では当たり前に使われますが、社内でアンケートを担当する方にとっては少し馴染みのない表現かもしれません。このページでは「調査票とは何か」を、できるだけシンプルに説明します。

ひとことで言うと

調査票とは、アンケートの設計書です。

家を建てる前に設計図を作るのと同じで、アンケートを配信する前には「何を、誰に、どういう順番で聞くか」を紙(またはファイル)にまとめておく必要があります。この設計書のことを、リサーチの世界では 調査票(questionnaire) と呼びます。

英語では "survey questionnaire" や単に "questionnaire" と表記され、Webフォームそのものではなく フォームの元になる仕様書 を指します。

「アンケート」と「調査票」の違い

この2つは日常会話では同じ意味で使われることが多いですが、厳密には役割が異なります。

調査票(questionnaire)アンケート(Webフォーム)
形式Word / Excel / Markdown などの文書回答者がブラウザで見る画面
役割設問・選択肢・分岐の仕様を定義する実際に回答を集める
作る人企画担当者・リサーチャーシステム(kicue が自動生成)
修正のしやすさテキストなので変更が容易公開後の変更は回答データに影響が出る

つまり、調査票は「設計」、Webフォームは「実装」 です。kicue では、あなたが作った調査票ファイルをアップロードするだけで、Webフォーム部分を AI が自動で生成します。

調査票に含めるべき基本項目

どのような業界・目的のアンケートでも、調査票には次の要素を含めておくとスムーズです。

1. 調査の目的(冒頭に1〜2行)

「新商品 A のコンセプト評価のため」「顧客満足度の四半期トラッキングのため」など、何のために聞くのかを最初に書いておきます。回答者に見せる必要はありませんが、設問を書く本人が迷わないための指針になります。

2. 対象者の条件

「20〜50代の女性」「過去3ヶ月以内に商品 A を購入した方」など、誰に聞くかを明記します。スクリーニング設問(対象外の人を除外する設問)の根拠になります。

3. 設問文

実際に回答者に投げかける質問文です。設問には通し番号(Q1、Q2、…)を付けるのが慣例です。

4. 回答形式

それぞれの設問に対して、どう答えてもらうかを指定します。代表的な形式は次のとおりです。

  • 単一回答(SA): 選択肢から1つだけ選ぶ
  • 複数回答(MA): あてはまるものをすべて選ぶ
  • 自由記述(OA / FA): テキストで自由に書く
  • 数値入力(NUM): 数字を入力する
  • マトリクス(MTX): 複数の項目を同じ評価軸で答えてもらう
  • スケール(LIKERT / NPS): 「1〜5」「0〜10」などの段階評価

各タイプの詳しい使い方は 設問タイプ のページで解説しています。

5. 選択肢

単一回答・複数回答・マトリクスなどの設問には、選択肢をすべて書き出しておきます。「その他(自由記述)」「あてはまるものはない」 を最後に置くかどうかも、ここで決めておきます。

6. 分岐条件(必要な場合)

「Q3 で『はい』と答えた人だけ Q4 に進む」といった条件付きのロジックを、設問の近くに日本語で書いておく と、AIが正しく解釈します。

調査票をどの形式で作るか

kicue がサポートする形式は 対応ファイル形式 で詳しく解説していますが、ここでは結論だけ先に書きます。

  • 社内で既にある → そのまま使う(Excel / Word / PDF どれでも OK)
  • ゼロから作るExcel がおすすめ
  • 生成AIに作らせるExcel か Markdown が最も相性が良い

Excel は行・列で構造化されるため、設問・選択肢・回答形式を整理しやすく、社内でレビューや共有をするのにも便利です。複数人で同時に編集したい場合は Google スプレッドシートでも同じレイアウトが使えます。

調査票のサンプル(Excel 表形式)

初めて調査票を書く方のために、小さな顧客満足度調査 のサンプルを Excel のシートを模した表で示します。同じレイアウトで .xlsx を作成すれば、そのまま kicue にアップロードできます。

A列(設問番号)B列(設問文 / 選択肢)C列(回答形式)
Q1本サービスへの総合満足度を教えてくださいSA(単一回答)
とても満足
やや満足
どちらとも言えない
やや不満
とても不満
Q2特に満足している点はどれですか?MA(複数回答)
価格
品質
サポート
使いやすさ
その他
Q3次の項目について、それぞれ5段階で評価してくださいMTX(マトリクス)
行項目: 価格 / 品質 / サポート
列項目: とても満足 / やや満足 / どちらとも言えない / やや不満 / とても不満
Q4サービスに対するご意見・ご要望があればご自由にお書きください自由記述

レイアウトのポイント:

  • A列に 設問番号(Q1、Q2、…) を入れる
  • B列に 設問文 を書き、その下のセルに 選択肢を 1 行ずつ 並べる
  • C列に 回答形式(SA / MA / MTX / 自由記述 など) を記入する
  • マトリクス設問の場合は、行項目・列項目を B列の下部に整理して書く

このような Excel ファイルを作成して kicue にアップロードすると、30秒ほどでWebフォームが自動生成されます。

生成AIで調査票を作る

「設問を考えるのが難しい」という方は、生成AI(ChatGPT / Claude / Gemini など)に草案を作ってもらい、それを調整する方法が効率的です。以下のプロンプトは、ダウンロード可能な Excel ファイル(.xlsx)として出力させる 形にしています。Code Interpreter(ChatGPT)や Artifact(Claude)を使える環境で実行してください。

プロンプトサンプル1: ゼロから作る場合

以下をコピーして、目的・対象・聞きたい内容を差し替えてください。

あなたはリサーチのプロです。以下の条件でアンケート調査票を Excel ファイル(.xlsx)として作成し、ダウンロードできる形で出力してください。Python(openpyxl など)でファイルを生成してください。

# 調査の目的
新商品「○○」のコンセプト受容度を把握するため

# 対象者
20〜50代の女性、月に1回以上スキンケア商品を購入する人

# 聞きたいこと
- 現在使っているスキンケアブランド
- 新商品コンセプトの魅力度(5段階評価)
- 購入意向(5段階評価)
- 購入したい / したくない理由(自由記述)
- デモグラフィック(年代・居住地)

# Excel のレイアウト
- A列: 設問番号(Q1, Q2, ...)
- B列: 設問文、およびその下に選択肢を1行ずつ
- C列: 回答形式(SA / MA / MTX / LIKERT / NPS / 自由記述 など)
- 1枚のシートにすべての設問を配置
- マトリクス設問の場合は行項目・列項目を分かりやすく整理
- 全体で10〜15問に収める
- スクリーニング設問や分岐条件があれば備考として記載

最後に、生成した .xlsx ファイルのダウンロードリンクを提示してください。

プロンプトサンプル2: 何を聞くかまだ固まっていない場合(2ステップで進める)

「アンケートを実施したいが、具体的に聞きたい内容がまだ定まっていない」という段階では、いきなり設問を書き出すのではなく、Step 1 で調査設計の方針を AI と壁打ちして固め、Step 2 でその方針を渡して Excel を生成する と失敗が少なくなります。

Step 1: 調査設計の壁打ち

まず、以下のプロンプトで AI と対話し、「何を聞き出すべきか」「どんな切り口で分析するか」を整理します。

あなたはリサーチのプロです。私はアンケートを実施したいのですが、具体的に何を聞けばよいかがまだ固まっていません。以下の背景情報をもとに、調査設計を一緒に整理してください。

# 背景
- 事業・商品: (例: D2C のスキンケアブランドの新商品)
- 直面している課題: (例: 新商品の発売前に、ターゲット層の反応を把握したい)
- 現時点でわかっていること: (例: 20〜30代の女性がターゲット、競合は ○○ 社と △△ 社)
- この調査で意思決定したいこと: (例: 発売可否、価格帯、訴求メッセージの方向性)

# 提案してほしいこと
1. この課題に対して、アンケートで明らかにすべき項目(仮説)を 3〜5 つ挙げる
2. 各仮説を検証するために、どんな設問テーマを設けるべきか(大まかな論点と想定される回答形式)
3. 対象者のスクリーニング条件(年代・利用経験・購入頻度 など)
4. 調査設計上の注意点・落とし穴(サンプル数、バイアス、回答負担 など)

# 対話の進め方
私がこの提案に対して追加情報や要望を返しますので、それを踏まえて方針を磨き上げてください。最終的には Step 2 で Excel 調査票を生成できるよう、以下を箇条書きで整理した『調査設計メモ』を最後に出してください。

- 調査の目的(1〜2行)
- 対象者条件
- 設問テーマのリスト(各テーマごとに想定する回答形式を明記)
- 分岐ロジックが必要な箇所

AI からの提案に対して「この仮説は外したい」「もっと購入後の体験も聞きたい」などを返しながら、納得いくまで方針を磨きます。

Step 2: 固まった方針から Excel 調査票を生成

Step 1 の最後に AI が出した『調査設計メモ』を、以下のプロンプトに貼り付けて送ります。

Step 1 で整理した以下の『調査設計メモ』をもとに、アンケート調査票を Excel ファイル(.xlsx)として作成し、ダウンロードできる形で出力してください。Python(openpyxl など)でファイルを生成してください。

# 調査設計メモ
(Step 1 で AI が最後に出した調査設計メモをここに貼り付け)

# Excel のレイアウト
- A列: 設問番号(Q1, Q2, ...)
- B列: 設問文、およびその下に選択肢を1行ずつ
- C列: 回答形式(SA / MA / MTX / LIKERT / NPS / 自由記述 など)
- 1枚のシートにすべての設問を配置
- マトリクス設問の場合は行項目・列項目を分かりやすく整理
- スクリーニング設問や分岐条件は備考として記載
- 全体で10〜15問に収める

最後に、生成した .xlsx ファイルのダウンロードリンクを提示してください。

ダウンロードした .xlsx をそのまま kicue にアップロードすれば、30 秒ほどでWebフォームが自動生成されます。

生成AIの出力は、あくまで「たたき台」として使うのがおすすめです。実際に配信する前に、後述の注意点をチェックしながら人の目で見直してください。

調査票作成でよくある落とし穴

生成AI任せでも、自分で書く場合でも、次のようなミスが起きがちです。

  • 誘導尋問になっている: 「なぜ良いと思いましたか?」のように「良い」と決めつけた聞き方はNG
  • 選択肢が網羅されていない: 「その他」「あてはまるものはない」を用意しておく
  • 2つの質問を1つにしている(ダブルバーレル): 「デザインと価格について満足度を教えてください」は2問に分ける
  • 設問が多すぎる: 10分以上かかる調査票は途中離脱が増える
  • 専門用語が多い: 社内用語・業界用語は回答者に伝わらない可能性がある

調査設計の実践的なコツは、ブログ記事 AIを活用した調査設計ガイド でも詳しく紹介しています。

次のステップ

調査票ができたら、次はアップロードです。